東京駅丸の内駅舎が完成。
が、実はわけあって丸の内にはここ一年程足を向けていない。

昨年の秋、親しかった友人のKさんが急逝した。
Kさんのオフィスは丸ノ内にあり
丸ノ内がお隣の銀座や日比谷に勝るとも劣らないコジャレた街になるずっと以前から通われていたKさんは
昔の、ガチガチのオフィス街としての丸ノ内も
食事するにもショッピングするにも事欠かない、流行の先端をいく街としての丸ノ内も
心から愛しておられるようだった。
私自身も丸ノ内の落ち着いた大人の佇まいが気に入っていて
Kさんとの待ち合わせはたいてい丸ビルだった。
Kさんとはいくらお話しても話がつきることがなく
丸ノ内のあの店やこのスポットで
食事をしながら、買い物をしながら、イベントを見ながら
いろんなこと、ありとあらゆること、爆笑話から人生観まで
絶えることなく語り合った。
Kさんとの時間は
私にとってかけがえのない貴重なもので
丸ノ内という街には
今や「思い出」となったそのかけがえのない一瞬一瞬が
そこここにちりばめられている。
Kさんとの時間が「今」ではなく、「思い出」と呼ばれるものに変わってしまった、ということをどうしても認めたくなくて
この一年、新幹線に乗るにもあえて品川を使い
丸ノ内には極力近づかないようにしていた。

丸ノ内のビルの上から
生前、Kさんと二人で建設途中の東京駅を眺めたものだった。
完成した東京駅をテレビの中継で見ながら
今もしまだKさんがお元気だったら
生まれ変わった東京駅を探検しに連れだって遊びに行っていただろうな、などと思う。

Kさんが亡くなって一年。
ふと
いつか、そう遠くない日に
東京駅の赤い佇まいを見がてら
丸ノ内を訪ねてみようかな、と
思ったりする。