染織家・中路道人氏原画の、今月の飾り扇は桜。

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梅がそろそろ終わり、桜に主役が変わっていく3月。
私の中での「桜」は、イコール「母の亡くなった日」。

もう随分前のある朝、入院先で亡くなった母を病院で引き取り、自宅に連れ帰るために家族と車を走らせていた。
その日は桜が満開で、うまい言葉が見つからないが、あえて言うなら「壮絶なほどに」美しく咲き誇っていた。
田舎のちょっとした山道だったこともあって、その時間人通りもなく、晴天の空の光を遮るほどに密集した白い花の大群が、窓の外に次々と押し寄せては通り過ぎていった。

そしていつの頃からか、この日のことを思い出す時は必ず
桜につつまれるようにして走る白い車を、高い空から俯瞰で見ている鳥の視点のような風景も目の前にひろがるようになった。
桜の間からとぎれとぎれに見える白い車
少しずつズームしていって
車の中にいる家族や私の様子
そして私の目、目の先にある桜…
最初からそうだったのか、だんだんそうなったのか
夢で見たのか、何度も思い返すうちに勝手にそんなイメージを作り出したのか
全く定かではないが
車の中から見る、ただひたすら美しく、迫力のある桜と
天空から見る、白い車を覆い隠し、抱き込むような桜
このふたつの桜の佇まいが、カメラのアングルが切り替わるように、何の違和感もなく交互に現れる。

不思議でもあり、鳥のような視点は、ちょっと愉悦感を覚えるようなものでもある。
そしてそれがそのまま私の中の「桜」のイメージになっている。

今年ももうすぐ、不思議で、ほのかな愉悦感をまとったような桜の季節が来る。

 

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