色。

道成寺や汐汲などで使う縮緬の手ぬぐいには大まかに言うと2色あって
ひとつは白、もうひとつが甕覗き(かめのぞき)。
甕覗き色というのはごくごく薄い青のことで
染料の藍を甕に入れ
白い布をその甕を《ちょっと覗く間程度に》ひたしたくらいの薄い青、
というのが名前の由来らしい。
白ではないくらいの青、ということで《白殺し》とも言うとか。
また甕に湛えた無色透明の水に
空の青が映し出されそれを覗き見た時の色、とする説もある。
いずれにしてもユニークで且つ繊細な表現だなぁ・・と思う。

とき色、もえぎ色、あさぎ色、ひわ色、納戸色、などもよく使われる色名だが
比較的その名前の由来は想像しやすい。
ちょっとやそっとじゃ名前の出所がわからないような
《甕のぞき》級の色名が他にもないかと
《日本の色》なる本を読んで(見て?)みた。

すると《甕のぞき》級はともかく
色の識別の繊細さに
今更ながら驚いてしまった。
同じ緑でも
<あの緑でもなくその緑でもないこの緑>
<この木のこの時期のこの部分の緑>というレベルで色を感じる
その力と繊細さは
四季の変化に富んだ日本ならではのものかな、
などと思ってしまう。

バタバタと日常を過ごして
アヤメの紫もカキツバタの紫も
見分けがつかないような自分をちょっと反省

コメント

  1. kinsuimi より:

    音楽、絵画、舞踊など芸術はやはりそれが生まれた国の歴史や風土から生まれるべくして生まれたもので、たまたまその土地で生まれちゃった、のではなく必然があって生まれたものなんでしょうね、きっと。

  2. allegrettoの飼い主 より:

    水彩絵の具にも和の色があります。西洋画の絵の具の色の多くは透明感が高く鮮やかで、和の色の絵の具はもっと雑味ともいえる部分が多いですね。
    そういえば楽器の音色も、洋楽器と和楽器の違いがこの色の違いと似ている気がします。ちょっと強引・・?

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