煙るように雨が降りしきる
暮れ始めのスクランブル交差点の真ん中に立って
渡る方向を探している。

撮り損ねた写真のように
顔の輪郭が溶けて滲んでしまった
タフで賢明な人達が
いぶかしげに横目で見ながら
肩を押すようにして
通り過ぎていく。

信号が点滅する。
車のクラクションが鳴り響く。

雨が煙る中
渡る方向が見つからないまま
交差点の真ん中に
老いたピエロのように
立ちすくんでいる。