新幹線のホームで、幼児二人とそのお父さんらしき男性がドリンクの自動販売機の前でそこそこ長いこと陣取り、ああでもないこうでもないとやっている。

どうやら父親はICカードでのドリンクの買い方を幼児二人に教えたいらしいのだが…

三人のうしろにはやはりドリンクを買いたがっている女性が並んていて
そこに、あきらかに彼女が乗ろうとしている新幹線が入ってきた。

父親は、背伸びしてもICカードのタッチ版になかなか手が届かない幼児に「ほら、もうちょっとだから。」と声をかけ
いよいよ新幹線がホームに止まりそうになると、「だめだなぁ〜。」と笑いながら幼児のひとりを抱き上げ、「ほら大きくなった。ピッとなるまで押してないと買えないよ。」と(近くのベンチに座っている私にも聞こえるくらいのまぁまぁの大声で)教えはじめた。

どう見てもイライラしていたうしろの女性はドリンクを買うのをあきらめ、慌てて新幹線にとび乗っていった。

もちろんホームに自動販売機はそこだけではないだろうし、よほどドリンクの好みが限定されてないかぎり、そこでしか買えないものでもないだろう。

が、であったとしても、わざわざ公共の乗り物のホームで、まだタッチ版に手も届かないような幼児に、自動販売機でのドリンクの買い方をレクチャーする、というのはアリなのだろうか。

仮にアリだとしても、今回のような状況になったとき、父親が教えるべきは「失礼しました。とうぞお先に。」ではないだろうか。

女性がとび乗った新幹線がホームを出ていったあと、親子三人は自動販売機の前に座り込んてなにやら大笑いしていた。
電車好きの親子が新幹線発着の様子を見に来て、その延長線でドリンクを買う練習もしてみたのだろう。
よくよく考えれば微笑ましい光景で、何もいちいち疑問を感じることでもないのかもしれないが
なんだかスッキリしない心持ちのまま、私も次の新幹線に乗り込んで出かけた。