あの時

分かれ道だったんだなぁ

後になって

思う。

あの時も

あの時も

そうとは知らず

こちら側を

選んでいた。

サンプルを入れた試験管が

整然と並ぶ理科室で

最後の一枚のリトマス試験紙を渡されて

さぁ選べ、とばかりに

決断を迫られるような

華々しい大舞台を与えられる分岐点など

意外と少ないのかもしれない

思う。

そう思うのは

私の未熟さの証拠

臆病さの証拠

だからこそ

あの時、を思い返す今を

ただただ

懸命であろうと

バタバタともがきながら

ささやかな安堵を

手にしている。