うちの近所のコンビニに
かなり無愛想な店員さんがいる。
《いらっしゃいませ》《ありがとうございました》などの店員さんとしてのマニュアルトークもほとんど抑揚のない小さな声だし
レジで接客している時も
まずお客様の顔を見ることはない。
接客業としていかがなものか、と思うし
いつもの私ならだいたい《そんなにつまらなそうにやるなら、自分のためにもお客様のためにも辞めたほうがいいのに》と思ってしまうのだが
その店員さんに関しては
なぜか嫌な気がしない。
店に入って彼女がいると
《お、今日は当たり!》と思ってしまう程だ。
なぜだろう、と考えてみると
彼女はお客様に無愛想ではあるが
同じバイトの店員さんに対しても同様で
バイトにありがちなお客様そっちのけの店員さん同士のおしゃべりをすることもなく
仕事そのものに対してはかなり真面目に取り組んでいる。
一度彼女のちょっとした勘違いでレジをやり直したことがあった時も
私の顔は見ないが
《あ、なんかすみません、お待たせしました。》と
言うべきことはちゃんと言う。
切手を買った時などは
切手をしめらすためのスポンジを《えっと、あ、これ、どうぞ》と(やはり顔は見ないが)差し出してくる。
どうやら彼女は【やる気がないから無愛想】のタイプではなく
もともと愛想はないが、たまたまコンビニのバイトをしている、のタイプらしいのだ。
今まで何度かこのブログにも書いたように
私は無愛想が苦手なのではなく
無愛想な自分にあぐらをかいて
相手が自分を理解しようと努力してくれることを当然のように求めてくる
つまり
いつのまにか相手側のアプローチや努力に乗っかる楽さを覚えてしまって
自らの無愛想をウリにしてしまっている人種が苦手なのだ。
全て、とは言わないが
だいたいそういう人種に限って
《理解されなかったり、誤解をされたとしても仕方ないし、それは甘んじて受け入れる》という覚悟がなく
コミュニケイションがうまくいかない原因を
相手の理解不足のせいにしたりする。
私はその横着さが苦手なのだ(なぜなら私もかなり横着なので、たぶん近親憎悪、というところだろう)。
自分からボールを投げるのは不得手だから嫌だけど
相手には投げてほしい
自分はそういう性格だ、と言い広めているうちに
自ら投げないで済む楽さが身についてしまい
いつのまにか相手が投げることが当然であり
あろうことか
相手はきっとボールを投げることが得意で好きに違いない
だからそんなに大変でもないはずだ、と
都合よく思い込み
たまたまうまくキャッチボールできなかったりすると
相手の投げかたのせいにしたりする。
少なくとも私に限って言えば
自信を持って断言するが
どんな的でもまかせなさい、というレベルの名投手ではないし
ましてや心の広い人徳者でもないので
あまりに文句が度重なると
自分の投げたボールのお粗末さは棚にあげて
《だったら文句ばかりつけていないで、少しくらい自分で投げる努力をしてみたら~!?》というセコイ一言も出てしまいそうな気がする。
自己嫌悪も含んで
私はそういうセコイ争いそのものが苦手なのだ。
話はそれたが
コンビニの彼女の話。
そもそも彼女は
理解しあいたい、と思う友人でも知り合いでもなんでもないし
したがって苦手もへったくれもないのが
接客業としてはあるまじきレベルの無愛想さでありながら(しかも見方によっては元ヤンキーの風貌)
なぜか彼女の持つ雰囲気には横着さを感じないし
むしろそこはかとない誠実さみたいなものを感じて(事実はおそらくお金が必要な若者がただ淡々と仕事をしている、というだけのことだろうが)
《たぶんこの人って、いわゆるイイヤツ》という勝手な思い入れに一人悦に入り
可愛い娘のバイト先に
こっそり偵察に行く母親か
口には出せない隠れファンのような気分で
当たり!の日を期待しつつ
コンビニに立ち寄る密かな楽しみにウキウキしている今日この頃。
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