あじさいが満開。
おおぶりの手鞠のようなまあるい花をあちこちで見かける。
子供時代を過ごした実家に
あじさいが群生していたのを思い出す。
小学校時代一番仲がよかったお友達が花好きで
彼女は教室の花瓶の花が枯れると
自宅の庭に咲く四季折々の花を切って持ってきた。
そして花瓶の水をかえたり根きりをしたり・・と実にマメにその花の世話をしながら
朝のホームルーム前の時間を楽しそうに過ごしていた。
私はかたわらでそんな彼女を見ながら
なんて女の子らしい女の子なんだろう・・と子供ながらしみじみ思っていた。
私の実家の庭では
父の趣味であるサボテンがハバをきかせていて
冬の昼下がりにはその中に入ってポカポカに暖まりながら読書をすることができたサボテン用の温室が
庭の半分以上を占めていた。
キンシャチと呼ばれる私の頭の2倍以上はある大きなサボテンを
わざわざ遠方から鑑賞に来る客人もいたように記憶している。
あとは桜や松といった樹木で庭はほぼ満杯になっていて
花々が咲いていられるスペースはあまりなかったように思う。
そんな中
毎年初夏の頃に
なると庭の隅のほうで唯一あじさいが元気に主張していた。
ある日母に頼んでそのあじさいを切ってもらい
新聞紙につつんで学校に持っていった。
お友達とそのあじさいを花瓶にいけながら
なんとなく自分も女の子らしい女の子になれた気がしてうれしかった。
あじさいを見ると
花瓶が置かれていた教室の窓辺や
雨に潤った実家の庭を思い出す。
誰にもある想い出を補う形で物とか場所が存在しますね。
それに触れたり訪れたりするたびに、甘くて酸っぱくて苦い複雑な想いが・・私にとってのその中のひとつがある名曲だったりするのですが・・