花酔い。

2214f7de.jpg庭に咲いた大輪の深紅の薔薇。

パッション、という種類だそうです。

薔薇、と言うとすぐに思い浮かぶのがバレエの《薔薇の精》。

私は曲も含めてこのプログラムが大・大好きだ。

初めて観たのはパトリック・デュポンだったと思うが

男でも女でもない薔薇の精の

濃厚で包容力に満ちた美しさと色気に

文字通り酔いしれてしまった。

鏡から想像を絶する高さで跳躍しながら薔薇の精が現れた時の

息がとまりそうなほどの心の震えは今でも忘れられない。

むせかえるような薔薇の香りにつつまれながら

ひとときの甘い夢を見せてもらっているうちに

薔薇の精は再び吸い込まれるように鏡に帰っていった。

実際の〈花酔い〉は経験したことはないが

あのひととき

私は確実に薔薇の精に魅せられ、酔いしれていた。

私に甘美で贅沢な〈花酔い〉を教えてくれたのは

舞台に咲いた薔薇の花。

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