自宅近くのバス停でバスを降りたら雨が降り始めた。
コンビニに傘を買いに走るよりも家のほうが近いので
《さすが(雨女の)私・・》とブツブツボヤキながら
家までの道を急いでいたら
前方から自転車が寄ってきて私の前で止まった。
いつもなら(痴漢に合うような年齢でも容姿でもないが、一応は夜だし)いぶかしがって身構えるところだが
なぜか嫌な雰囲気を感じることなく顏を上げると
傘をさして自転車に乗った私より少し年下くらいの青年(おじさん?)がいて
《これ、さしますか?》と
自分の傘を差し出してきた。
《ありがとうございます、もう近くですので。》と丁重にお断りしたが
とても気持ちのいい空気があって
声をかけてもらったこと以上に心地よかった。
男性は《本当に大丈夫ですか?》と念を押したのち
《お着物着ていらしたから大丈夫かな、と思って~》と言って
来た道を帰っていった。
そこではじめて気付いたのだが
その自転車はついさっき私を追い抜いていったもので
つまりわざわざ戻ってきてくれたわけだ。
雨の夜の
心がポッとあたたまるような
ちょっと嬉しい出来事。
こんな夜の雨なら
遭遇してしまっても悪くないなぁ~と思った。
さらに
男性はどうやらご近所さんらしいし
これからは寝起きのボサボサ頭にドスッピンというイデタチでその辺をウロウロするのは控えよう、と
ひそかに決心した次第。