明治通りを歩いていたら
どこからともなく甘いいい香りが漂ってきた。
何の匂いだろう・・と思っていたら
何年か前にはきっとバリバリのヤマンバメイクをしていたふうの
失礼だがあまり上品とは言えない話し方を大声でしながら
前を歩いていた女子高生達が
『あ、キンモクセイの匂いじゃん!いいにおーい!』とうれしそうに叫ぶと
あたりを見回し
キンモクセイとおぼしき木を見つけ
なにやら笑いさざめきながら駆け寄っていった。
私は自分の植物オンチっぷりが恥ずかしくなり
また同時に
傍若無人な彼女達の歩き方を少し不愉快に思うあまり
いつのまにかそんな彼女達に偏見を持っていたことに気づいた。
公道を歩く彼女達の振る舞いは決して誉められたものではなかったが
少なくともそれに眉をひそめる超植物オンチの私などより
彼女達はよほど秋の気配に敏感だったように思う。
キンモクセイの木の下で
甘い香りを楽しそうに味わっているガングロの女子高生達は
とても可愛く、魅力的だった。