放課後の校庭で
しまい忘れられ
ポツンと残されたボールのように
宙ぶらりんになっている思いがある。
子供達がいなくなって
校舎の窓から明かりが消えて
月の光がさしこむまでの
紅い紅い時間
長い楕円の影を落とす埃にまみれたボールのように
自分ではどうしようもないような
立ちすくむばかりの思いがある。
冷たい雨の明日ではありませんように
太陽の日ざしが降り注ぎ
子供達の笑い声が響く明日でありますように、と祈りながら
しぼみかけたボールに
冷えきった空気を一生懸命吹き込んでいる。