また
絶対に会える
と思うから
「さよなら」が言えるんだよね。
ずっとずっと
気が遠くなるほど待って
魂だけの宇宙になるまで待ち続けて
それでも
『私』が『私』のまま
『君』が『君』のまま
同じ記憶を抱いて巡り会うことが
絶対に絶対にないのなら
どんなみっともない悪あがきをしたって
「さよなら」なんて
死んでも言うもんか、と思ってしまう。
でも
ふと何かの折に
ずっとずっと
気が遠くなるほどの昔
愛しくて愛しくてたまらない君を見ながら
今と同じことを思っていた私を
心のどこか
耳をふさいだまま聞く音楽のようなもどかしい場所で
感じることがあるんだ。
私はすごく『人間』になっちゃって
神様からはうんと離れたところまで来ちゃったから
毎日毎日わからないことばかりで
きっとそれは死ぬまでそうなんだろうけど
君は魂そのもの、みたいな命だから
きっと神様とも町内会くらいに近いんだよね。
一年で一番まぁるくてまばゆい月を
神様からこっそりゆずってもらったような君の金色の瞳には
たよりない記憶の海で溺れそうになっている私が
どんなふうに映っているのだろう。
百万の言葉と忘却を引き換えにした愚かで臆病な私を
君は許してくれてるのかな?
ちゃんともう一度
君のことを誰より愛した私を
君は評価してくれてるのかな?
私は今度もきっとまた
いつか来る君との別れの刹那
「さよなら」を言えずに
グズグズと往生際の悪い抵抗をすると思うんだ。
『忘却』は自ら望んだことなのにね。
困ったことに
神様との取り引きはなかなか変更がきかないから
当分私はあきれるほど『人間』でいるしかなくて
ということはつまり
捜し当てる苦労はいつもいつも君になっちゃうんだけど
だけど
見つけてさえくれれば
私は必ず
何度でも
君を
愛していくからね。