2007年 2月 の投稿一覧

お雛さま。

いつだったか電話もメールもチリとも鳴らない日があった。
こんな日もあるんだ・・と思ったその日一日のことを妙にくっきりと覚えている。

昨日お豆腐料理を食べにいったのだが
和食屋さんだけあってお雛さまが飾ってあった。
最近はお雛さまとお内裏さまだけの簡素な飾り付けもあるが
その店のものは五人囃子も三人官女も右大臣、左大臣もいる
オールスターキャストのノーマル版(?)だった。

そういえば私の実家もこのノーマルバージョンで
確か実家のお雛さまはオールスターキャストに加えて
お雛さまとお内裏さまの鎮座ましますところが御殿のしつらえになっていて
その細工もかなり凝ったものだったと記憶している。
私が独立し、母が亡くなり
いつのまにかあのお雛さまを飾り付けたり見たりすることはなくなったが
さてあの人形達はいったいどこにしまわれているのだろう・・とふと思った。

お人形達の数だけでもかなりあるし
御殿だってかさばるものなんだから
どこにしまってあるにしてもすぐに目に付きそうなものだが・・。

長いこと存在を思い出してもらえず
あろうことか上に使わなくなったガラクタみたいなものを乗せられ
押し入れの隅でブーブー文句を言いながら
ふてくされているのではあるまいか。

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<さくらん>公開!

今日からいよいよ映画<さくらん>公開です
皆様ぜひご覧くださいねー
それから2月22日から3月5日まで
渋谷パルコミュージアムで《さくらん極彩色絢爛展》も開催されてます。
映画で使われた衣裳や小道具、セットの他
蜷川監督の撮り下ろし写真も公開されます。
こちらもぜひお立ち寄りください。
私も行こーっと

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色。

道成寺や汐汲などで使う縮緬の手ぬぐいには大まかに言うと2色あって
ひとつは白、もうひとつが甕覗き(かめのぞき)。
甕覗き色というのはごくごく薄い青のことで
染料の藍を甕に入れ
白い布をその甕を《ちょっと覗く間程度に》ひたしたくらいの薄い青、
というのが名前の由来らしい。
白ではないくらいの青、ということで《白殺し》とも言うとか。
また甕に湛えた無色透明の水に
空の青が映し出されそれを覗き見た時の色、とする説もある。
いずれにしてもユニークで且つ繊細な表現だなぁ・・と思う。

とき色、もえぎ色、あさぎ色、ひわ色、納戸色、などもよく使われる色名だが
比較的その名前の由来は想像しやすい。
ちょっとやそっとじゃ名前の出所がわからないような
《甕のぞき》級の色名が他にもないかと
《日本の色》なる本を読んで(見て?)みた。

すると《甕のぞき》級はともかく
色の識別の繊細さに
今更ながら驚いてしまった。
同じ緑でも
<あの緑でもなくその緑でもないこの緑>
<この木のこの時期のこの部分の緑>というレベルで色を感じる
その力と繊細さは
四季の変化に富んだ日本ならではのものかな、
などと思ってしまう。

バタバタと日常を過ごして
アヤメの紫もカキツバタの紫も
見分けがつかないような自分をちょっと反省

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歌舞伎座。

日本舞踊協会第五十回記念公演が
3月27日、28日に歌舞伎座で開催されます。
私は28日第一部の《洛中洛外》に出演させていただきます。
振り付けは人間国宝の花柳寿南海先生。
今日からそのお稽古がはじまりました。
がんばります!
皆様ぜひお越しください

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徒然草。

私の知人で徒然草を愛読書にしておられる方がいる。
自宅用、オフィス用、出張用、と3冊をお持ちで
一番繰り返し読んでいる1冊は
もうかなりボロボロになっている、というのだからすごい

その方曰く
徒然草には
生きるためのありとあらゆるヒント(友情のこと、恋愛のこと、お金のこと、それからなんと今で言うところの博打のことまで!)が書かれているそうで
それらは現代にも十分通用するから
何回読んでもちっともあきないとのこと。

《本当にいいものはいつの時代にも受け入れられるし、必ず残っていくもの》
という話をうかがいながら
踊りもそうだな、と改めて思った。

今《古典》と呼ばれている作品も
出来た当初は当然《新作》だったわけで
それが伝え継がれ踊り継がれて
今を生きる私達にも変わらぬ感動を与え続けている。
と言うより
自然淘汰の結果
時がたっても朽ちることのないパワーを持った作品のみが残り
それが今《古典》と呼ばれているのだ。

私のような若輩者が創る(振り付ける)踊りなど
まさにその場限りの刹那的な命しかない駄作ばかりだが
いつか
ほんの少しでも長生きさせてあげられる作品を創ることができたらなぁ・・と思う。

母が母なので
産まれてくる作品にもあまり期待はできないが
鳶が鷹、ってこともあるし

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ゲスト。

14606d9a.jpg今日お稽古場に
Iさんのお嬢様二人が
ゲストでやってきました
お母さんがお稽古している間
ちゃんとお行儀よく見学してました
お稽古の合間には〈先生の猫の写真見せてー〉と
膝にのってきた二人
帰る時にはちゃんとすわって
〈先生、さようなら〉とお辞儀していった二人。
年子の二人が
クスクス笑いながら何やらお話しているのを見ていると
もしかして背中に
ちっちゃくて透明な天使の羽でもついているのでは
ほっとくとふわふわ空を飛びだして
いたずらの相談でもし始めそう・・
などと思ってしまいます

それから今日は体調をくずしてしばらくお稽古をお休みしていたNさんが復帰
元気になってよかったねー
彼女は今普通部名取資格取得めざして猛勉強中
無理せず、しっかり体調管理しながらがんばろーね

ところで写真がピンボケでごめんなさい・・。

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アミオ。

86024ce4.jpg中学以来のお友達のRさんが創ってくれたハチのぬいぐるみ。
ニットです。
なのでアミオ(編雄)と名付けました。
いろんなポーズがとれるおもしろいヤツ

私は子供の頃からぬいぐるみとかお人形に特別に興味を持てないタイプでしたが
アミオについては
どことなくゆるーいキャラが気に入って
やたらアミオ、アミオと
皆に紹介しまくっていたところ
なんとある日
ハチがおねしょしちゃいました・・・

ハチは3才で、つまり十分成猫。
しかもおりこうでおりこうでおりこうなハチ(←すみません、また飼い主バカ・・)は
今まで一度もそんなソソウをしたことがなかったのでびっくり

どうやらアミオへの嫉妬だったらしく
以来アミオの取り扱い時には必ず
同時にハチを抱きしめながら
〈ハチ、今日もかわいいねー。おりこうねー。〉と誉めたおすようにしています・・。

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桜のシーン。

四月並みのあたたかさ。
梅も終わらないうちから桜の話が出ている。

桜にまつわる忘れられないシーンが二つ浮かぶ。
一つは母が亡くなった日。
朝方逝った母を病院から自宅まで車で連れて帰った。
花酔いしそうなくらいの満開の桜の中を一時間程走った。
私はひたすら桜に見とれ
〈なんてきれいなんだろう・・〉と思っていた。
母の死を正しく(?)受けとめ
ゾッとするほどの喪失感に襲われるのは
まだまだその日からずっとあとのことで
その時の私は
哀しくもなければ寂しくもないただただ空っぽで何もない心の中で
桜の美しさを大事に大事に(妙な表現だけど)反芻していた。
さらに言えばそうやって反芻している自分を
もう一人の自分が見つめていた。
あの時の桜ほどきれいな桜にはその後出会ってない。
たぶん幸せなことなんだろう。

もう一つは先日亡くなられた壽楽先生。
先生が会主のおさらい会を拝見しに伺った。
トリは当然壽楽先生で演目は〈七福神〉だった。
その一つ前の演目が〈京鹿子娘道成寺〉だったのだが
その日は〈道成寺〉が終わって幕が降りても
ずっと太鼓の音が鳴り続けていて
つまり幕は降りたものの
まだ〈道成寺〉の舞台は続いているかのような雰囲気になっていった。
やがてスルスルと緞帳があがると
なんと〈道成寺〉の背景のままの舞台のセンターに
紋付袴姿の壽楽先生がお辞儀をして座られていた。
〈七福神〉なら鳥の子の屏風などをバックに踊るのが通常の演出なのだが
その時の壽楽先生は道成寺の桜の背景と
時折舞い落ちてくる桜の花びらの中にひかえていらした。
絢爛豪華な〈道成寺〉の衣裳のためのセットなのに
シンプルな紋付袴でも不思議と何の違和感もなかった。
私はそのような演出を拝見するのは初めてだったが
会場にも驚きと感動のざわめきが広がった。
先生の〈七福神〉を拝見させていただいている間
ふわふわとした甘い夢を見ているような幸福観につつまれた。

あの時

があがって劇場がざわめく中
お辞儀からゆっくりと顔を上げられたあの時の先生のお顔
ふところに幸せの玉でもしのばせているかのような
あたたかくて慈愛に満ちた微笑みをたたえた先生のお顔が
今でも心に残って忘れられない。

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春は名のみの・・。

春は名のみの、ではなく、名実ともに春を感じさせる立春。
私用で地方に来ているが、ダウンコートを着ることなく一日手に持って歩いた。

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お別れ。

今日、というかもう昨日になってしまいましたが
花柳壽楽先生の本葬でした。

最後のお別れを申し上げてきました。

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